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笹幸恵
2021.6.23 17:27日々の出来事

沖縄 慰霊の日

6月23日は、沖縄の慰霊の日。
沖縄戦が終結した日のように捉える向きもあるが、
正しくはこの日、牛島満軍司令官と長勇参謀長が自決し、
「組織的戦闘ができなくなった日」である。
(去年も一昨年も書いたような気がするけど)

沖縄戦はこの日を境に終わったわけではなく、
最前線で戦う兵士は軍司令官の自決を知らず、
組織の壊滅を知らず、
大隊が中隊、中隊が小隊の規模になっても
目の前にいる米軍と戦い続けた。

もっと言えば、他の戦域でも戦闘は続いていた。
たとえば沖縄のはるか南のブーゲンビル島は、
昭和20年6月の時点ですでに「忘れ去られた戦場」に
なっていた。
けれどこの島にいた将兵たちは、米軍に代わって
より積極的に日本軍を殲滅しようとする豪州軍を相手に、
じりじりと守備陣地を後退させつつも戦い続けていた。

報道されるただ一片の事実だけが、真実ではない。
それをすべて見通すことは困難だけれど、
少なくとも、視野を広げ、多面的に物事を見よう。
表に出ていることだけが事実ではない、
ときには何が報道されないか、ということのほうが、
真実に近づくために必要な視点だったりする。

そんなことを考える、沖縄慰霊の日、でした。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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